トップページ > 抗肥満薬
抗肥満薬とは、肥満を抑制したり防止したりする薬剤です。医療用抗肥満としては、サノレックス、ゼニカルなどが開発されていますが、このうち、サノレックスは厚生労働省で認可された抗肥満薬として日本国内で使用されています。
一方、ゼニカルはFDA(米国食品医薬品局)に認可された処方箋薬で、欧米で医師により処方され、減量や減量後の体重維持など肥満の治療に使用されています。
慢性的な運動不足、仕事など精神的なストレスによる過食、外食やインスタントフードの摂りすぎなど肥満の原因は様々です。抗肥満薬は服用により食欲を抑えたり(サノレックス)、脂肪の吸収を抑えたり(ゼニカル)する事で、肥満の改善やダイエット後のリバウンドを予防します。その結果、肥満が原因で発症する高脂血症や高血圧や糖尿病などの生活習慣病を改善し、発症を予防します。
サノレックス(有効成分はマジンドール:Mazindol)は、摂食中枢に直接作用して食欲を抑制します。食欲を強烈にブロックして、摂取カロリーを抑え、その結果、減量効果がでます。厚生労働省認可のダイエット薬で、医師の処方が必要です。有酸素運動を組み合わせると、より効率良く脂肪燃焼・減量ができます。我慢して食事量を減らすダイエット方法ではありませんから、食欲を抑えられない方に効果的です。厚生労働省によって、内服は最長3ヶ月までとされています。たいてい2~2.5ヶ月で耐性ができ、食欲が戻ります。
こんな方に効果的
サノレックスの特徴
体重減少効果が高いので、早く体重を落としたい方や高度肥満の方におすすめです。少ない食事量で満腹感を得ることができ、空腹感を感じることが少なくなりますので、食べ物への執着が少なくなります。
服用方法
通常は1日1錠。昼食前に内服(通常は昼食の1時間くらい前)。1日最高服用量は3錠までで、2~3回に分けて食前に服用します。サノレックスは続けて飲むと効果が落ちます。一定期間内服して、いったん休薬するか、食欲が多い日だけ飲む方法が効果的です。
副作用
口渇感、便秘、悪心・嘔吐、胃部不快感、不眠(遅い時間に飲まないように)、抑うつ、その他あまり見られない副作用(依存性、肺高血圧症)
禁忌(使えない方)
妊娠中、授乳中の方、抑うつや統合失調症の既往のある方、緑内障の方、重症の心疾患・膵障害・腎障害・肝障害のある方、重症高血圧の方、薬物・アルコール乱用歴のある方、MAO阻害剤投与中の方
注意点
サノレックス内服時にお酒を飲むことは出来ません。悪酔いしたり、ひどい二日酔いを招きます。
薬の相互作用
高血圧クリーゼを起こすことがあるので、MAO阻害剤との併用は禁忌。アルコールとの併用(飲酒時)は、めまい、眠気等のアルコールの副作用が増強されるおそれがあります。アマンタジンとの併用は幻覚、睡眠障害等の副作用が増強されるおそれがあります。
ゼニカル(有効成分はオルリスタット:Orlistat)は、脂肪分解酵素リパーゼの働きをブロックして、食事に含まれる脂肪分の吸収を抑制し、減量します。食事に含まれる脂肪分を体内で分解・吸収するには、脂肪を分解するリパーゼが必要です。
食事に含まれる脂肪(トリグリセリド)は、リパーゼによりフリーの脂肪酸やモノグリセリドに加水分解され吸収されます。ゼニカルの作用は胃と腸のリパーゼの活性セリン残基と共有結合を形成する事によって発揮されます。不活性になったリパーゼは、食事に含まれる脂肪(トリグリセリド)を加水分解することができなくなり、吸収できない形のまま排泄させます。すなわち、ゼニカルはリパーゼの働きを抑制することで、食事中の脂肪の分解を阻害し、消化されなかったトリグリセリドは吸収されず、結果としてカロリーの減少が体重のコントロールに繋がります。
脂っこい食事の時にゼニカルを飲んでおくと、摂取カロリーを大幅にカットできます。ゼニカルは食べたい物を我慢しないダイエットですから、長続きし、リバウンドしにくい特徴があります。ゼニカルはFDA認可の安全性の高いダイエット薬で、医師の処方が必要な処方箋薬です。
こんな方に効果的
ゼニカルの特徴
ゼニカルでの治療の場合、通常2週間以内に減量が始まり、6ヶ月から12ヶ月間減量しつづけます。その後は、再び体重が増加するのを防ぎます。
ゼニカルは深刻な肥満を長期的に治していくのにたいへん有効な薬であることから、高血圧や、高コレステロール、高血糖などの危険因子を改善できます。減量幅が少ない場合でも、特に心臓や血管の病気、糖尿病の危険性のある場合、健康上おおきな利益を生み出します。
高血圧、高血糖、高コレステロールなどの危険因子の改善効果は、通常治療開始後1ヶ月で認められ、ゼニカル服用中はその効果を維持します。
服用方法
通常は1日1錠。脂っこい食事の際に服用(食事中あるいは食後20分以内に水と一緒に服用)。飲み忘れたときは食後1時間以内なら効果があります。夕食後の服用がより効果的と思われます。1日の最大服用量は120mgを3錠までで、2~3回に分けて食事の際に服用内服します。食事をしない場合、あるいは脂肪を含まない食事をとった時は服用の必要はありません。
副作用
下痢、急な便意、便失禁、オイルスポット、脂肪便、膨満感、鼓腸、その他あまり見られない副作用(上部呼吸器感染、歯肉の障害、吐き気、直腸の刺激、歯の不調)
禁忌(使えない方)
慢性吸収不良症候群の方(慢性的な消化不良に悩まされている方)、胆汁うっ滞の方、妊娠中、授乳中、医薬品・食べ物・染髪料にアレルギーのある方。
注意点
ゼニカルは脂溶性ビタミン(特に、ベータカロチンとビタミンE)の吸収を妨げるので、それらを含むマルチビタミンなどをとることをおすすめします。ゼニカルの使用の2時間前、あるいは2時間後の寝る前などにマルチビタミン服用してください。
薬の相互作用
薬の相互作用については、ゼニカルは、アルコール、ジゴキシン、ニフェジピン、経口避妊薬、フェニトイン、プラバスタチン、ワルファリンの薬物動態、薬力学作用には影響しません。アルコールはオルリスタットの薬力学作用には影響しません。ゼニカルがシクロスポリンと同時に使用されたとき、シクロスポリンの血漿レベルに低下が見られます。シクロスポリン服用者はゼニカルの服用を避けるか、ゼニカルの使用の2時間前、あるいは2時間後という間隔をあけて用いることが必要です
抗肥満薬の処方をご希望の患者様は、お電話(03-5545-8177)でご予約をお願いいたします。
また、ご不明点等についても、お気軽にお問い合わせください。