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髙橋院長がB型肝炎について解説(新聞記事読む:PDF)
B型慢性肝炎はB型肝炎ウイルス(HBV)の感染によっておこる肝臓の病気です。わが国でのHBV感染者(HBVキャリアー)は人口の約1%程度で約120〜150万人のHBV感染者がいると推定されています。その多くは無症候性のキャリアーですが、慢性肝疾患は10万人程度(約3万人は肝硬変、肝細胞がん)と推定されています。
近年、C型肝炎による発がんは、ようやく減少に転じましたが、B型肝炎による発がんは減少しておらず、大きな問題となっています。疫学的調査ではB型肝炎ウイルスキャリアーにおける肝細胞がんの発がんリスクは健常人の約200倍もあるとされています。
発癌リスクを考えるに当たり、非常に重要な因子はHBV DNA(B型肝炎ウイルス遺伝子)の量であり、HBV DNA 量が多いほど発がんのリスクが高くなります。一方で、HBV DNA陰性が3年以上持続した症例からの発がんはほとんどないと考えられています。従って、B型肝炎では抗ウイルス療法が極めて重要です。
B型慢性肝炎はHBVキャリアーから発症します。また、HBVキャリアーの大部分は日本人の場合は母子感染が原因と考えられています。この予防対策として、1986年に「B型肝炎母子感染防止事業」が開始され、現在は母子感染によるHBVキャリアーの発症は減少しています。
HBVキャリアーの10〜15%では肝機能異常が持続し、B型慢性肝炎に進展します。一方、HBVキャリアーのおおよそ85〜90%は「セロコンバージョン」と呼ばれる現象を経て、肝機能が正常となり無症候性キャリアーとなります。
また、わが国のHBVキャリアーの約3割(おおよそ40万人)が昭和23年~63年までの集団予防接種の際に注射器が不適切に使いまわされて発症したと考えられています。これに対して、2012年1月13日に「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」が施行され、患者さんの救済が開始されました。
HBVの遺伝子型には8つのジェノタイプ(A、B、C、D、E、G、F、H)があります。日本人のB型慢性肝炎では、ジェノタイプB(85%)が多く、次いでジェノタイプC(12%)とA(2%)も見られます
日本人のB型慢性肝炎で多い、ジェノタイプBとジェノタイプCのHBVは急性肝炎から慢性肝炎なることはなく、これらのジェノタイプのB型慢性肝炎は母子感染と集団予防接種が原因と考えられています。
一方、ヨーロッパや北米に多いジェノタイプAは急性肝炎の約10%が慢性化します。近年では、日本でもジェノタイプAのHBVによる急性肝炎が増え、B型急性肝炎からB型慢性肝炎になることがあるので注意が必要です。
また、ジェノタイプAのB型急性肝炎からB型慢性肝炎が発症する例が増えています。これに対して、慢性化の予防として、抗ウイルス剤として核酸アナログ製剤であるラミブジン(販売名:ゼフィックス)を投与することもあります。
B型慢性肝炎はHBVジェノタイプにより治療効果が異なるため、ジェノタイプを測定してから治療法を決定します。
また、インターフェロンや核酸アナログ製剤は使い始めると長期に使い続けなくてはならないため、使うべき対象となる患者さんの診断と使うべきタイミングには専門医の判断が必要になります。
さらに、B型慢性肝炎に特徴的で特記すべき点として、自然緩解例があるということがあります。すなわち、肝炎を起こしたあとにHBVが排除され、肝機能が安定し、無症候性キャリアーに移行する場合があるということです。このようなことは35歳までにしばしばおこります。従って、以上のような可能性も十分に考慮に入れて治療の必要性、治療開始時期のタイミング、治療法の選択等を決定する必要があります。
治療の開始にあたっては肝臓専門医あるいは肝臓専門医療機関を受診して、適切な検査、診断、治療を専門医の指導のもとで受けることが大切です。
当院では、HBVジェノタイプを測定してから治療法を決定します。これはB型慢性肝炎のHBVジェノタイプにより治療効果が異なるためです。
また、自然治癒の可能性を十分に考慮に入れて治療必要性、治療開始時期のタイミング、治療法の選択等を決定します。
肝臓は沈黙の臓器と言われ、B型慢性肝炎になっても全く自覚症状はありません。逆に、自覚症状に乏しいために無治療で放置されることもあります。B型慢性肝炎の治療の目的で最も重要なこと肝細胞がんの予防です。
当院では肝炎に対する生活指導や食事指導、そして発がん予防のための生活指導や食事指導を積極的に行っています。
B型慢性肝炎治療の外来は、携帯、スマートフォン、PCからhttp://azabu.atat.jp/あるいは右記のバーコードでご予約頂けます。また、直通電話:03-5545-8177で、お電話いただいて、ご予約もできます。お問い合わせについても、お気軽にお電話ください。