トップページ > IFNフリー治療法
C型肝炎は経口薬(飲み薬)で治る時代になりました。直接作用型抗ウイルス剤(DAAs: direct acting antivirals)と呼ばれる経口薬が開発され、インターフェロンを用いない治療法(IFNフリー治療法)が可能になりました。DAAs製剤を用いたIFNフリー治療法は、治療期間も短く、副作用もほとんどなく、100%近い著効率を示します。また、年齢、性別を問わず、非常に高いウイルス持続陰性化率を示し、C型肝炎は、ほぼ100%治る時代になりました。尚、DAAs製剤を用いたIFNフリー治療法に対しても、医療費の公費助成が受けられます。
IFNフリー治療法では、C型肝炎ウイルスのジェノタイプの違いにより、以下のようなDAAs製剤(経口薬)を用います。
ジェノタイプ1(セログループ1)では、レジパスビル/ソホスブビル配合錠(販売名:ハーボニー配合錠)、オムビスタビル水和物・パリタプレビル水和物/リトナビル配合剤(販売名:ヴィキラックス配合錠)、あるいは、ダクラタスビル塩酸塩(販売名:ダクルインザ)・アスナプレビル(販売名:スンベプラ)併用療法を用います。
ジェノタイプ2(セログループ2)では、ソホスブビル(商品名:ソバルディ錠)・リバビリン(商品名:コペガス、レベトール)が用いられます。
ハーボニー配合錠は1日1回1錠を毎日12週間服用します。服用終了12週後のウイルス持続陰性化率(SVR12)は100%でした。ハーボニー配合錠は性差、年齢に関係なく非常に高い有効性を示しましたが、重度の腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73m2)又は透析を必要とする腎不全の患者さんでは禁忌となり、服用できません。また、カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン、セント・ジョーンズ・ワートを服用中の患者さんも禁忌となり、服用できません。
ヴィキラックス配合錠は1日1回2錠を毎日12週間服用します。服用終了12週後のウイルス持続陰性化率(SVR12)は86.6%でした。また、服用前にY93変異が検出されなかった患者では99.0%(301/304例)がSVR12を達成しましたが、Y93変異が検出された患者のSVR12は83.0%(39/47例)でした。従って、ヴィキラックス配合錠で治療を希望される方は、治療前のY93耐性変異検査(HCV薬剤耐性変異解析検査)が重要となります。是非、Y93耐性変異検査を受ける事をお勧めします。当院ではY93耐性変異検査を無料で行っております。詳しくは電話でお問い合わせ下さい。
ダクルインザ・スンベプラ併用療法は、ジェノタイプ1bのC型慢性肝炎が対象となります。ダクルインザ錠(60mg)1錠を1日1回とスンベプラカプセル(100mg)1カプセルを1日2回、毎日24週間服用します。ダクルインザ・スンベプラ併用療法を終了して24週後にC型肝炎ウイルスが検出されない治癒率(SVR24)は84.7%(222例中188例)です。Y93H耐性変異陰性例では184例中168例(91.3%)がSVR24を達成しました。従って、ダクルインザ・スンベプラ併用療法においても、治療前のHCV薬剤耐性変異解析検査が重要となります。当院ではY93耐性変異検査を無料で行っております。ダクルインザ・スンベプラ併用療法を希望される方も、是非、Y93耐性変異検査をお受け下さい。詳しくは電話でお問い合わせ下さい。
ソバルディ・リバビリン併用療法では、ソバルディ錠(400mg)1日1回1錠とリバビリン(コペガス錠またはレベトールカプセル)を1日2回400mg〜1000mg、毎日12週間服用します。服用終了12週後のウイルス持続陰性化率(SVR12)は96.4%です。
当院では、HCVジェノタイプを測定してから治療法を決定します。これはC型慢性肝炎はHCVジェノタイプにより治療効果が異なるためです。
特に、ダクルインザ・スンベプラ併用療法の有効率はジェノタイプ1aではきわめて低いため、注意が必要です。
C型慢性肝炎の治療の基本は「ウイルスの排除」と「肝細胞がんの阻止」です。肝臓は沈黙の臓器と言われ、C型慢性肝炎になっても全く自覚症状はありません。逆に、自覚症状に乏しいために無治療で放置されることもあります。そのため、適切な抗ウイルス療法と正しい食習慣の実践が重要です。
抗ウイルス療法を最適に選択するためには、C型肝炎ウイルスの遺伝子型(HCVジェノタイプ)や耐性遺伝子(HCV薬剤耐性変異)の解析が必要になります。当院ではこのような検査を行ってから治療の選択を指導しています。
C型慢性肝炎では、鉄分の過剰摂取が慢性肝炎の悪化を促進することがあるため、鉄制限食についても指導を行っています。健康な一般の方はあまり神経質になる必要はありませんが、C型慢性肝炎を指摘されているなら、赤身肉や魚類の血合いを摂取するのは避けた方がいいと言えます。肝臓に良いと思われている「レバー」や「貝類」も鉄を多く含むため、食べ過ぎないように注意が必要です。
玄米は鉄の吸収を防ぐフィチン酸を含むのでお勧めです。また、鉄は汗から排泄されます。定期的に運動し、汗をかくことでも鉄を減らすことが出来ます。
当院では肝炎の治療と生活指導・食事指導、そして発がん予防のための生活指導や食事指導を積極的に行っています。お気軽にお問い合わせ下さい。