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当医院は肝臓病専門医(肝炎治療の名医)がいるクリニックです。
NAFLD(ナッフルディー)・NASH(ナッシュ)と脂肪肝について髙橋院長がメディアで解説(項目をクリックすると内容が見られます)。
NAFLD(ナッフルディー)・NASH(ナッシュ)とは?
NAFLD(nonalcoholic fatty liver disease、非アルコール性脂肪肝疾患)はアルコールを原因としない脂肪肝です。NAFLDは一般的には「ナッフルディー」と呼ばれています。 NAFLDの8割から9割は炎症や線維化を伴わない脂肪肝で「単純性脂肪肝」と呼ばれています。メタボ由来の脂肪肝で、90%以上の症例で肥満、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症等の生活習慣病を合併しています。
NASH(nonalcoholic steatohepatitis、非アルコール性脂肪肝炎)は炎症や線維化を伴い、肝硬変症や肝がんに進展するタイプの肝炎を伴った脂肪肝です。NASHは「ナッシュ」と呼ばれています。
NASHはNAFLDのなかで炎症や線維化を伴い、肝硬変症や肝がんに進展するタイプの脂肪肝と言えます。単純性脂肪肝からNASHへ進行することもあります。
NASHの発症および肝硬変症や肝がんへの進展には酸化ストレス、インスリン抵抗性(高インスリン血症)、鉄などが関与していると考えられています。
NASHの50%が進行性で、約10年で20〜30%が肝硬変、肝がんに進行します。
また、お酒をあまり飲まず、ウイルスや自己免疫など肝障害の原因がないにも関わらず、肝硬変症や肝がんと診断される患者さんが増えています。そのような患者さんの中にNAFLD・NASHがいることが分かってきました。
2007年に日本糖尿病学会から衝撃的な報告がありました。すなわち、糖尿病の患者の死因のトップは肝がん(8.6%)で、肝硬変死(4.7%)と合わせると実に糖尿病患者の13.3%が肝疾患関連死であるという報告でした。この報告以来、NAFLD・NASHが注目されるようになりました。
また、メタボリックシンドロームが多い米国では米国人口の約3%(およそ850万人)がNASHに罹患していると考えられ、日本でも急増しています。
さらに、疫学調査では同じ肥満度(MBI:Body Mass Index)で比較すると非日本人(ヒスパニック、白人、黒人)に比べ、日本人はインスリン抵抗性や脂肪沈着が有意に高く、日本人が肥満による脂肪肝を来しやすい事も明らかになっています。
また、NAFLDの単純性脂肪肝からNASHへの進展には酸化ストレス、インスリン抵抗性(高インスリン血症)、鉄などが関与していると考えられています。
NAFLD・NASHは、早食いや大食いの人、運動しない人、野菜を食べない人、肉食で特に赤みの肉が好きな人、生活が不規則な人、などがNAFLD・NASHにかかりやすいと言えます。また、肥満症、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症の患者さんは特に要注意です。
また、超音波検査やCT検査などの画像診断では、30%以上の肝細胞に脂肪沈着を認めた場合に脂肪肝の診断が可能です。脂肪肝は、5~10%以上の肝細胞に脂肪滴を有するものと言うのが脂肪肝の国際的な定義であることから、検診で見落とされている可能性も高いと言えます。
飲み薬としては、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、ビタミンEやビタミンC、あるいはポリエンホスファジルコリン(販売名:EPL)等を投与します。また、pioglitazone(販売名:アクトス)という糖尿病治療薬が奏効する症例もあります。
NAFLD/NASH は肥満等のメタボ体質を基盤に発症する肝疾患なので減量のための運動療法や食事療法が基本です。
また、NASHの発症や進行には、1)酸化ストレス、2)インスリン抵抗性(高インスリン血症)、3)鉄が関与しています。そのため、NASHを予防し、進行を抑えるには体の“酸化、糖化、鉄化”を防ぐ事が重要です。この為、当院では次のような生活指導を行っています。
まず「酸化」を防ぐには「ファイトケミカル(phytochemical)」を上手に摂取する事が大切です。ファイトケミカルとは植物が紫外線や害虫による危害から自らの身を守る為に作る機能性成分のことです。ファイトケミカルのファイト(phyto)は、【戦う】と言う意味ではなく、ギリシャ語で【植物】と言う意味で、ファイトケミカルは植物由来の成分です。例えば、トマトに含まれるリコピン、ワインに含まれるポリフェノール、ショウガに含まれるジンゲロール、お茶に含まれるカテキンなどはいずれもファイトケミカルです。ファイトケミカルはトマトの赤い「色」、ワインの「香り」、ショウガの「辛味」、お茶の「苦味」など、私たちの五感が感じとっている野菜や果物の成分でもあります。そして、ファイトケミカルには活性酸素を消去する「抗酸化作用」、「免疫力を高める作用」、そして、がん細胞を殺す抗がん作用があります。
次に「糖化」を防ぐ食事指導。糖質制限など炭水化物を制限する食事療法もありますが、ご飯好きには案外厳しいと言えます。その場合は食べる順番で血糖を上げすぎない工夫を薦めています。例えば、おかずと汁物を先に食べ、一息ついてからご飯を食べる。また、同じカロリーでも食後の血糖値の上昇の度合いが低い食品を食べるように指導しています。食後の血糖値の上昇の度合いを食品別に数値化したものをGI値(グリコセミック・インデックス)と呼びます。この数値の高い食品(白米、うどん、フランスパン)は血糖値が上がりやすく、インスリンの分泌量を増大させてしまい、脂肪になりやすい食品と言えます。逆に、GI値の低い食品(玄米、そば、春雨、パスタ)は脂肪になりにくいため、これらの食品を摂るように指導しています。
3番目の「鉄化」を防ぐのは鉄による酸化促進作用を抑えるためです。すでにC型肝炎の患者には「鉄制限食」が処方されています。一般にはあまり神経質になる必要はありませんが、すでに肝炎や脂肪肝を指摘されているなら、レバーや赤身肉(魚類の血合いも)を避けた方がいいと言えます。玄米は鉄の吸収を防ぐフィチン酸を含むので、玄米食は抗糖化、抗鉄化の両面からお勧めです。また、鉄は汗から排泄されます。定期的に運動し、汗をかくことで鉄も減らすこと出来ます。
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