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予防接種(Vaccination)とは、感染症(伝染病)の発生・流行の予防のため、毒性を弱めた病原体などの抗原物質(ワクチン)を体内に投与し、病気に対する長期間の免疫をつくることです。
感染症は、細菌やウイルスなどが体に侵入し、体の免疫力との戦いに勝った場合に発症します。逆に、病原体に対する免疫力が強ければ感染症にはかかりません。また、特定の病気(例えば、インフルエンザ)にかからないためには、インフルエンザウイルスに特異的に作用する免疫力が必要です。この「特異的に作用する免疫力」をあらかじめ人為的につくる方法が「予防接種」で、その手段として使われるのが「ワクチン」です。
すなわち、ワクチンは、人間が本来持っている病原体に対する抵抗力のシステムを利用して、さまざまな感染症に対する「免疫」をあらかじめ作らせておく製剤です。ワクチンは病原体あるいは細菌毒素の毒性を弱めたり失わせたりしたものですから、人為的に接種しておけば発病することなく、免疫反応の記憶を残すことができます。そして、いざ本当の病原体が侵入してきたときに、すばやく免疫による防衛反応が働き、発病せずにすみます。このように、ワクチンをあらかじめ接種することが予防接種です。
風疹は発熱などの症状とほぼ同時に全身に発疹が出る感染症です。風疹に対して免疫をもっていれば風疹にかかることはありません。しかし、風疹に対して免疫がない場合、または充分な免疫がない場合は風疹にかかる可能性があります。
抗体を持たない女性が妊娠初期に風疹にかかると、赤ちゃんに先天性風疹症候群(難聴や心疾患、白内障や緑内障などの障害)を起こすことがあります。最近では、平成24年10月から平成25年1月末までに6人の先天性風疹症候群の報告がありました。また、抗体があってもその量が少ない(抗体価が低い)場合も赤ちゃんに先天性風疹症候群を起こす可能性があります。
そのため、妊娠を予定している女性や妊娠を希望している女性は風疹ワクチンの予防接種を受ける必要があります。また、女性が妊娠している場合は、妊婦の周りにいる方(妊婦の夫あるいはパートナー、子ども、その他の同居家族)が風疹ワクチンの予防接種を受ける等の予防に努めることが大切です。
風疹ワクチンの予防接種の対象者は、1.10代後半から40代の女性(特に、妊娠を予定あるいは希望している女性や妊娠する可能性の高い女性)、2.妊婦の夫あるいはパートナー、3.妊婦の子供や同居家族など身近にいる人、などです。
風疹ワクチンの予防接種をうけることにより、妊娠中の女性が風疹にかかることを予防し、また妊婦以外の方が妊婦に風疹をうつすことを予防できます。現在は、風疹ワクチンに麻疹(はしか)ワクチンを混合した、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)が定期の予防接種に用いられています。
妊娠中あるいは妊娠が不明の女性は風疹ワクチンを受けることができません。また、女性はワクチン接種後の2ヶ月間は妊娠を避けるように注意が必要です。しかし、妊娠中の女性がワクチンの接種をうけて、赤ちゃんに先天性風疹症候群が発症した報告はありませんので、ワクチン接種後に妊娠が判った場合でも心配はありません。
風疹は咳やくしゃみなどで風疹ウイルスが感染して起こります。「三日はしか」とも呼ばれ、子供がよく罹る病気と考えられていました。しかし、最近は風疹にかかるのは9割が大人で、免疫を持っていない20代~40代の男性や20代の女性を中心に患者数が増えています。
風疹の流行時期は、季節的には春から初夏にかけてが多いとされています。しかし、冬にも少ないながらも発生しています。平成24年には2,353例の報告があり、過去5年間では最も多い報告数なりました。平成25年に入ってからはさらに急増し、1月から3月までに平成24年の1年間の風疹患者数を上回っています。
当院では風疹ワクチンの予防接種と抗体検査を常時行っております。必要により抗体価検査(麻疹ウイルス、風疹ウイルス)の検査を行い、ワクチン接種が必要か否かを判断し、アドバイスいたします。また、ワクチン接種後に充分な免疫が出来ているかどうかを判定するための、抗体価の検査も行っています。わかりやすい説明と最良の治療を心がけております。些細なことでも気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。
インフルエンザの症状は通常の「風邪」に比べると重篤で、咽頭痛や寒気などの風邪症状に加え、関節痛・筋肉痛や38℃~39℃の高熱および強い倦怠感を伴います。また、場合によっては、肺炎、気管支炎、脳症、ライ症候群、心筋炎、中耳炎などの合併症を発症することもあります。
ワクチンを接種することでインフルエンザにかかりにくくなり、また、たとえインフルエンザに感染しても症状を軽く抑えることができます。糖尿病・呼吸器疾患・心疾患・腎疾患などの基礎疾患のある方や、高齢者の方は、インフルエンザの合併症による死亡率を抑えるためにも、予防接種が勧められています。
季節性のインフルエンザは、通常初冬から春先にかけて毎年流行します。また、ワクチンが効力を発揮するのはワクチン接種1ヶ月後から5ヶ月間だと言われています。そのため、接種時期は10月初旬から12月末までが良いとされています。
一般成人の場合は基本的には1回接種で免疫は得られますが、高齢者の方は免疫が出来にくいため、2回接種がお勧めです。1回目のワクチン接種から2~4週おいて2回目を接種されると効果的です。
肺炎球菌ワクチン(ニューモバックス)は、高齢者の肺炎の原因となる病原体のなかで、最も頻度の高い「肺炎球菌」に有効なワクチンです。70歳以上の市中肺炎の起炎菌は肺炎球菌が一番多く、インフルエンザ菌、嫌気性菌、緑膿菌と続きます。日本では高齢者の重症市中肺炎の約50%、院内肺炎の10%が肺炎球菌によるものです。また肺炎球菌が引き起こす主な病気としては、肺炎の他にも、気管支炎、副鼻腔炎、中耳炎、髄膜炎などがあります。
インフルエンザにかかった高齢者の1/4が細菌性肺炎になると言われています。高齢の慢性肺疾患患者にインフルエンザと肺炎の両ワクチンを接種すれば、入院を63%、死亡を81%減らすとの海外報告もあります。さらにこのワクチンには、肺炎球菌による肺炎予防効果とともに、「肺炎になっても軽症ですむ」、「抗生物質が効きやすくなる」などの効果もあります。肺炎球菌には80種類以上の型がありますが、肺炎球菌ワクチン接種によりそのうちの23種類に対して免疫をつけることができ、肺炎球菌による肺炎の8割ぐらいに有効と言われています。
抗体価は接種1ヶ月後で最高値となり、その後4年間はあまり低下しません。5年後にはピーク時の80%にまで抗体価が落ちますが、5年目以降も効果は残ります。しかし、肺炎球菌以外の病原体による肺炎には効果がないので、すべての肺炎を予防できるわけではありません。くれぐれも「肺炎球菌ワクチンはすべての肺炎に有効ということではない」ことを理解してください。
B型肝炎ワクチン(ビームゲン:組換え沈降B型肝炎ワクチン)は、B型肝炎の予防に用いられるワクチンです。B型肝炎ワクチンを繰り返し注射することによって、体内にB型肝炎ウイルスに対する抗体ができ、この抗体とリンパ球が協力することで、B型肝炎ウイルスの感染を抑えることが出来ます。B型肝炎ワクチンは、B型肝炎に感染する可能性の高い方(B型肝炎キャリアーのご家族、人工透析を受けている方、施設の入居者や従業員、医療従事者、アジア地域に海外渡航を予定している方など)が対象になります。
B型肝炎に対する免疫力を高めるためには3回の注射が必要です。1ヶ月間隔で1回目と2回目を接種し、6ヶ月後に3回目の注射を行います。海外出張でワクチンが必要なときは、出国前に2回(1ヶ月間隔)注射を行い、6ヶ月後に3回目の注射を行います。3回目は一時帰国時に接種、あるいは現地での接種となることが多いようです。
下記のワクチンで予防接種を実施しています。ワクチンの接種に際しては予約が必要ですので、3日前までに事前にお電話にてご連絡ください。わからないことがございましたら、お気軽にご相談ください。
実施内容 | 料金(税込) |
肺炎球菌 | 8,800円 |
A型肝炎 | 8,800円 |
B型肝炎 | 6,600円 |
破傷風トキソイド | 4,400円 |
麻疹(はしか) | 6,600円 |
風疹(三日ばしか) | 6,600円 |
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) | 6.600円 |
水痘(水ぼうそう) | 8,800円 |
MR(麻疹風疹二種混合) | 11,000円 |
当院では個々の予防接種の必要性や副作用について詳しくご説明いたします。また、場合によっては抗体価検査(A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱瘡ウイルスなどに対する抗ウイルス抗体価)の検査を行い、ワクチン接種が必要か否かを判断し、アドバイスいたします。ワクチン接種後に充分な免疫が出来ているかどうかを判定するための、抗体価の検査も行っています。
わかりやすい説明と最良の治療を心がけております。些細なことでも気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。
予防接種の予約は、直通電話:03-5545-8177まで、お電話いただき、ご予約いただきますようお願いいたします。お問い合わせについても、お気軽にお電話ください。